シリヤ ・ ラヴィナルク
「〝悪い子〟は食べられるってママに教わらなかったのか?」
浮浪の冒険者。
色々な人を助けるためと冒険をしているが、価値観が歪で極端な行動に走りがち。一度〝わるいやつ〟と認識したら扱いに容赦がない。
身の丈ほどもある大鎚を苦も無く振り回せるほどの膂力を持ち、小柄故か敏捷性も高い。その大鎚でミンチにされたゴロツキは数知れず。
口の悪さや体の薄さで間違われやすいが女の子。
素はわりとアホ陽気。お人好しな面や案外人懐っこい面もあり、身内からはやんちゃな妹のような扱いを受けている。
料理上手な一面もあるが、当の本人の好物は……
彼女はカニバリストである。
とはいえ、当人もそれがタブー視されている環境に身を置いていることを自覚しているし、
本当に嫌いな悪人に対しては逆に食すことを忌避しているので食する機会はそう多くない。
彼女の家系にはある習わしが残っていた。
同じ世代に生まれた者同士を戦わせ、生き残った者がその血肉を食らう。こうしてより強靭な者が更なる繁栄を担うのだと。
彼女は生き残った。かつての大好きだった親族の血肉を喰らった。
そうして彼女は義憤に駆られた。こんな習わしなど間違っている、それは決して許されるものではないと。
その手で習わしを滅した彼女は、あてもなく冒険者となった。
冒険者というものは困っている人を〝悪〟から解放させると聞いた。自分が滅するべき〝悪〟を見つけるにはこれ以上ない天職である。
彼女はその歪んだ正義を貫き通すため、今日も冒険者として依頼を探している。